住宅ローン控除でいくら戻る?
減税を受けるための確定申告や計算方法を解説!

執筆者
株式会社 北國銀行
ライフプラン部 ローングループ
舛田 薫

  • ・2級ファイナンシャル・プランニング技能士

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した人が一定の要件を満たすことで減税を受けられる制度です。
本コラムでは、実際にいくら戻るのか、確定申告の手続きはどうすればよいのかなど制度の概要を解説していきます。

1.住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(減税)とは、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合、一定期間、各年末の住宅ローン残高に応じた金額(上限あり)が所得税や住民税の一部(最大97,500円)から控除される制度です。
新築住宅はもちろん、中古住宅の購入や100万円を超えるリフォームや増改築でも利用できます。

◇税額控除のイメージ

2.住宅ローン控除を受けるための条件とは

住宅ローン控除を受けるための条件

住宅ローン控除は、入居する年によって適用される条件や制度の内容が異なります。
本コラムでは、2022年以降に居住される方の条件について解説します
それ以前より住宅ローン控除を受けている方の条件とは異なりますので、ご注意ください。

2022年以降に居住を開始された方の条件は以下の通りです。

対象物
  • ・新築物件(注文住宅、分譲住宅、分譲マンション)
  • ・中古物件(戸建住宅、分譲マンション)
  • ・リフォーム(増改築、省エネ改修、バリアフリー改修)
  • ・土地 ※土地のみの購入は不可
主な要件
  • ・本人が居住すること
  • ・住宅の引渡しまたは工事完了から6か月以内に入居し、引き続き居住していること
  • ・住宅ローンの返済期間が10年以上
  • ・合計所得金額が2,000万円以下
  • ・床面積が50㎡以上
    ※2023年末までに建築確認を受けた新築住宅で40㎡以上50㎡未満の場合、合計所得金額が1,000万円以下であること
  • ・店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  • ・住居に入居した年およびその前後2年間(通算5年間)に住宅売却等による譲渡取得の課税特例等を受けていないこと
  • ・2024年1月以降に建築確認を受ける物件は、一定の省エネ基準を満たしていること       など

住宅ローン控除を受けるためには、要件をすべて満たす必要があります。
本人が居住する物件が対象となりますので、投資用不動産や建築予定のない土地の購入等は該当しません。
また、住宅ローン控除は「入居した年から適用」となるため、住宅ローンを借入した年に入居しなかった場合、その年の控除は受けられません。

さらに、繰上返済等により借入期間が当初借入日から10年以内となった場合は適用が受けられなくなりますので注意が必要です。

その他、中古住宅の購入やリフォーム・増改築の場合には、追加の条件がありますので、くわしくは国税庁のホームぺージをご確認ください。

参考:国税庁ホームぺージ

マイホームを持ったとき1(新築・購入)

マイホームを持ったとき2(増改築)

3.実際にいくら戻るのか計算してみましょう

控除額の計算方法

では、実際にいくら戻るのか計算してみましょう。
住宅ローン控除を受けられる金額は「年間最大控除額」のほか、借入限度額から算出される「借入残高の一定割合」「所得税と住民税の合計額」のいずれか最も少ない金額が適用されます。
通常は、収入も変動がありますし、住宅ローンの残高も毎年減っていくため、控除額も毎年変動します。

  • ※あくまで3つの額の最も小さい額が控除対象となることをわかりやすく表現したイメージです。

まずは、物件の性能ごとの最大控除額についてみてみましょう。
今回改正された住宅ローン控除では、省エネ性能が高い環境に配慮した住宅に高い借入限度額が設定されることとなりました。
2024年以降に建築確認を受ける物件の内、省エネ基準を満たさないものは適用外となります。
ご自身のマイホームはがどの住宅性能に該当するかを踏まえ、最大控除額を確認します。

◆住宅性能や住宅の種類による条件

  • ※スマートフォンご利用で下記の表が左右途切れて表示する場合は、表を左右にスライドさせてご確認ください。
居住年 ①借入限度額 ②控除率 ①×②=③
年間最大控除額
④控除期間 ③×④
最大控除額合計
新築 認定長期優良住宅・
認定低炭素住宅
2022年・2023年 5,000万円 0.7% 35万円 13年 455万円
2024年・2025年 4,500万円 31.5万円 409.5万円
ZEH水準省エネ住宅 2022年・2023年 4,500万円 31.5万円 409.5万円
2024年・2025年 3,500万円 24.5万円 318.5万円
省エネ基準適合住宅 2022年・2023年 4,000万円 28万円 364万円
2024年・2025年 3,000万円 21万円 273万円
その他の住宅 2022年・2023年 3,000万円 21万円 273万円
2024年・2025年 ー (*1) 0円 0円
中古 認定住宅 等 2022年~2025年 3,000万円 21万円 10年 210万円
その他の住宅 2,000万円 14万円 140万円
  • *1 2023年までに建築確認を受けた新築物件は、借入限度額2,000万円まで受けられる

次に、住宅ローンの年末借入残高の一定割合を算出します。

借入残高の一定割合
= 住宅ローン等の年末残高×0.7%

上で算出した「最大控除額」と「借入残高の一定割合」のどちらか少ない金額が所得税や住民税から控除されることになります。
所得税から控除しきれなかった場合、住民税の一部(最大97,500円)が控除の対象となりますが、実際の納付額を超えて還付されるわけではありません。

シミュレーションしてみましょう

以上を踏まえて、具体的にシミュレーションをしてみましょう。

年収400万円の場合

本来の納税額:所得税:70,000円 住民税:150,000円

※控除期間中は年収、納税額の変動はないものとする

当初借入金額:3,000万円
借入金利:年0.90%(10年固定)⇒11年目以降:0.8%(3年固定)
借入期間:35年
1年目の年末の住宅ローン借入残高:29,267,450円
2023年 新築住宅(認定長期優良住宅)を購入

※借入金利は、令和4年9月現在の北國住宅ローンの条件を適用

一年目の計算方法を具体的にみてみましょう。

上で行った計算と同様に2年目、3年目…と控除期間の13年目まで算出すると控除額の合計は2,094,000円となります。
詳しいシミュレーション結果については以下を参照ください。

◆シミュレーション結果

  • ※スマートフォンご利用で下記の表が左右途切れて表示する場合は、表を左右にスライドさせてご確認ください。

(単位:円 百円未満切り捨て)


住宅ローン年末残高

①×控除率0.7%

最大控除額
④所得税+
住民税最大控除額
②、③、④で
最小の金額
1年目 29,267,450 204,800 350,000 167,500 167,500
2年目 28,528,279 199,600 167,500 167,500
3年目 27,782,428 194,400 167,500 167,500
4年目 27,029,837 189,200 167,500 167,500
5年目 26,270,445 183,800 167,500 167,500
6年目 25,504,191 178,500 167,500 167,500
7年目 24,731,011 173,100 167,500 167,500
8年目 23,950,844 167,600 167,500 167,500
9年目 23,163,627 162,100 167,500 162,100
10年目 22,369,294 156,500 167,500 156,500
11年目 21,557,754 150,900 167,500 150,900
12年目 20,739,699 145,100 167,500 145,100
13年目 19,915,075 139,400 167,500 139,400
合計 2,094,000

今回のシミュレーションは、年収や納税額に変動がないと仮定したものでしたが、実際は増減があるため控除額も増減します。それぞれの状況に応じて確認してください。

4.住宅ローン控除を受けるための手続き方法とは

住宅ローン控除の適用を受けるためには、最初の年のみ「確定申告」が必要となります。
2年目以降は会社員や公務員など源泉徴収されている方は年末調整で手続きが完了します。

また、連帯債務やペアローンなどで住宅ローンを契約している場合、負担額に応じて住宅ローン控除が受けられますので、それぞれが確定申告や年末調整の手続きを行う必要があります。
連帯保証人の場合は、控除は受けられません。

◇手続きの全体的な流れ

1年目の手続き方法

控除を受けたい全ての方が、入居した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をする必要があります。
確定申告の手続きは、お住まいの地域を管轄する税務署のほか、インターネット(e-Tax)でもできます。

確定申告に必要な書類
確定申告書 国税庁HPまたは近隣の税務署
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書 お借入れされた金融機関
住宅の工事請負契約書の写しまたは売買契約書の写し 不動産業者・施工業者
土地・家屋の登記事項証明書 法務局

上記は主な必要書類であり、その他給付金受給の証明書や住宅性能を示す書類等が必要となる場合があります。
確定申告書の記入に不安やご不明点がある場合は税務署窓口で相談すると良いでしょう。

2年目の手続き方法

給与所得者の方は、2年目以降は年末調整で控除を受けることができます。
ただし、個人事業主の方など年末調整を利用しない方は2年目以降も確定申告が必要となります。
年末調整の際に必要な住宅ローン残高証明書は、10月~11月頃に借入した金融機関から郵送されることが多いです。
くわしくはお借入の金融機関にお問合せください。

また、2年目以降に提出が必要となる「給与所得者(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申請書」は1年目の確定申告後に適用年数分(例えば13年分)がまとめて税務署より送られてきます。
毎年1枚ずつ勤務先に提出することになりますので、大切に保管して紛失しないよう注意しましょう。

2年目以降に必要な書類
・給与所得者(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申請書 税務署より期間分まとめて郵送
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書 金融機関より毎年郵送

手続きを忘れた際には還付申告を

万が一、手続きを忘れてしまった場合は、還付申告することで過去5年間遡って控除を受けることができます。
お手続きについては、国税庁ホームぺージをご覧ください

還付申告に関する国税庁ホームぺージはこちら

  • ※本コラムは、2022年9月現在の情報です。
    最新の情報は、国税庁HPや税務署等でご確認ください。

住宅ローン控除のほかにも、iDeCoNISA、生命保険料控除など個人で利用できる税制優遇制度がたくさんあります。
賢く利用することで、お得に資産形成し、理想のライフプランの実現につなげましょう。
家づくりは、家計の見直しや今後のライフプランに関するお金について考える良い機会です。
お金のことで不安や悩みをお持ちの方は北國銀行へご相談ください。
これからもお役立ち情報を配信していきますので、お楽しみに★

執筆者
株式会社 北國銀行
ライフプラン部 ローングループ 舛田 薫

  • ・2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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