執筆者
株式会社 北國銀行
ライフプラン部 ローングループ
舛田 薫
「マンションと戸建て、どちらを選べばいい?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
近年は中古物件のリノベーションを選ぶ方も増えています。
本コラムではそれぞれのメリットやデメリットを比較し、価格や諸費用を踏まえた特徴を解説します。
目次
マンションと戸建てのどちらを選んだ方が良いかは、それぞれにメリット・デメリットがあり一概にどちらが良いとは言えません。
また家族構成やライフプラン、趣向によってもその答えは変わってきます。
では、どのような違いがあるのか、どんな人に向いているのかについて見ていきましょう。
メリット | デメリット |
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メリット |
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デメリット |
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マンションに居住する大きなメリットの一つは、好立地で利便性が高いことです。
国土交通省による令和3年度住宅市場動向調査でも、マンションを取得した世帯が「戸建てではなくマンションを選択した」最も多い理由が「住宅の立地環境が良かったから」となっており、購入者が重視していることがわかります。
また、オートロックや監視カメラの設置、管理人の常駐など防犯面が充実していることや、場合によっては24時間いつでも利用できるごみ収集場や宅配ボックス、立体駐車場など共用設備が充実していることも利便性が高いといえます。
しかしながら、その利便性を維持するためには「管理費・駐車場代・修繕積立金」など毎月支払い続ける必要があります。住宅ローンの返済とは別に支払いがあることを頭に入れておかなくてはなりません。
その他、デメリットとしては上下左右に住戸がありご自身の生活音が響いていないか気になったり、反対に隣の騒音が気になって生活に支障が出たりすることがあります。
それに加え、マンションは複数の世帯が快適に居住するため「大型ペットの飼育禁止」や「楽器演奏禁止」など独自のルールがあることも多いです。
メリット | デメリット |
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メリット |
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デメリット |
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戸建ての場合、小さなお子さんがいても足音や物音を気にせずに生活できることは大きなメリットでしょう。
また、マンションに比べてプライバシーも守られます。
コスト面についても、毎月の「管理費・駐車場代・修繕積立金」等がかかりません。
ただし、築年数の経過とともに建物や住宅設備に修繕が必要になるので、ボーナスの一部を積み立てるなどご自身のタイミングで前もって準備しておくことが必要です。
また、注文住宅を新築する場合、ご自身の希望を盛り込んだ間取りで設計するなど、それぞれに異なったマイホームが建てられる一方、売却を検討した際には個性のある間取りなために、なかなか売れず、希望の金額より安く売却されることもあります。
その他、マンションに比べて窓や死角が多いためセキュリティ面は劣りますし、防災面でも地震や水災等の被害にあいやすいといった点や、防災グッズを各家庭で準備する必要があるという点が挙げられます。
(マンションによっては防災設備を保管してある場合があります)
先にも解説したとおり、マンションは好立地で利便性が高いことがメリットの一つです。
駅の近くや中心部に近い利便性の高い場所に住みたいと望む人は多いと思いますが、戸建てを建てようと思ってもそもそも売土地がなかったり、あっても土地代金が高く、コストがかかり過ぎるため手が出ないというのが現実です。
その点、マンションであれば手の届く価格で購入できるため、立地条件や利便性を重視する方にはおすすめです。
かつては、一度マイホームを購入したら最後まで住み続けるという考え方が一般的でしたが、近年ではライフスタイルが多様化し、ライフステージに合わせて住み替えたいという方が増えています。
例えば、「夫婦二人の生活」と「子育て中の生活」では必要な部屋数も違えば、近くに学校や病院があるなど求める立地条件も変わります。
また、子育てが一段落したあと、「たくさん部屋のある大きな家は必要ない」「元気なうちに家を片付けて身軽な暮らしがしたい」という考えにいたることもあります。
必要な広さや設備、立地条件等に合わせてフットワーク軽く住み替えたいと考えている方には、マンションがおすすめです。
ただ、住み替えを考えるときに「新しい住まいを求めるときに、今の自宅が売れるのか?」ということが心配になると思いますが、その点についても戸建てよりマンションの方が人気の立地に建っていたり、どんな人でも住みやすい間取りで設計されていることが多く、売却しやすいと言えるでしょう。
戸建ての場合、生活音を気にしなくて良いことが一つのポイントです。
マンションは周囲に住戸があり、小さなお子さんがいると足音や物音が気になったり、逆に隣戸からの騒音で不快な思いをすることもありますが、戸建ての場合はマンションに比べて騒音トラブルは少ないです。
小さなお子さんがいる家庭や、趣味をお持ちの方などにはおすすめです。
また、注文住宅の場合、それぞれの家族にあった間取りでマイホームを建築できるため、お庭を造ったり、駐車場を必要台数分確保したり、大型ペットを飼育したりと敷地を自由に活用することができます。
昨今ではテレワークなどで仕事用のスペースや個室を確保する方も増えています。
静かな住宅街でのびのびと過ごしたいという希望は叶えやすいかもしれません。
次にマンションと戸建ての物件価格で比較してみましょう。
ひと昔前は、戸建てよりもマンションの方が安く買えると言われていましたが、近年ではマンションの価格は高騰しており、一概には言えません。
「2010年の取引価格の平均を100とした不動産価格の動向」は以下のとおりで、マンション価格が高騰しており、北陸地方の指標でいえば2010年より2倍以上になっていることになります。
戸建てについては長い間横ばいでしたが、近年ウッドショックや資材不足により価格高騰しています。
◆ 全国平均
◆ 北陸地方
参考:国土交通省 不動産価格指数(住宅)
◆ 物件種類別の所要資金平均価格
全国平均 | 北陸地方 | |||
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平均価格 | 平均面積 | 平均価格 | 平均面積 | |
全体 | 3,745.0万円 | 101.9㎡ | 3,266.8万円 | 117.2㎡ |
土地付き注文住宅 | 4,455.5万円 | 111.4㎡ | 3,653.7万円 | 117.2㎡ |
中古住宅 | 2,614.4万円 | 113.1㎡ | 1,972.9万円 | 125.7㎡ |
新築マンション | 4,528.5万円 | 64.7㎡ | 4,375.5万円 | 75.5㎡ |
中古マンション | 3,025.8万円 | 68.2㎡ | 2,849.8万円 | 78.5㎡ |
参考:住宅金融支援機構 2021年度住宅市場動向調査
物件種類ごとの所要資金を比較してみても、新築マンションが最も高くなっています。
しかしながら、これはあくまでも平均値です。
北陸地方でも高額な新築物件で販売価格が一億円を超える物件もありますが、3,000万円台という物件もあり、手が届かないというわけではありません。
次に諸費用について比較してみましょう。
諸費用についてくわしくはこちら
◆購入時にかかる費用
登記費用 | 所有権移転費用、抵当権設定費用 等 |
銀行手数料・保証料 | 住宅ローンを利用する場合に必要 |
印紙代 | 契約書に貼付 |
火災保険料 | ご自身の資産を守るために必ず付保する |
仲介手数料 | 土地、中古物件を購入する場合にのみ必要 |
(戸建てだけにかかる)水道施設負担金 | 水道の利用にあたって負担する費用 |
◆購入後にかかる費用
不動産取得税 | 不動産を取得した際にかかる |
固定資産税 | 土地や住宅等の建物を所有する場合にかかる |
都市計画税 | 市街地に不動産を所有する場合にかかる |
(マンションだけにかかる)管理費 | マンションの日常的な維持管理をするための費用 |
(マンションだけにかかる)修繕積立金 | マンションの共用部全般の修繕に充てられる費用 |
(マンションだけにかかる)駐車場代 | マンションの駐車場利用にかかる |
購入時にかかる費用が最も少ないのは、仲介手数料や水道施設負担金がかからない「新築マンション」もしくは「戸建ての建替え」です。
土地や中古物件を購入する際には、仲介手数料がかかり、水道施設負担金も初めてその土地に建物を建てる場合にかかります。
購入する物件の種類によってかかる費用は異なるほか、費用の多くは購入金額や住宅ローンの金額によって支払う金額が決定します。
購入後に支払う「固定資産税」とは、土地や住宅などにかかる税金の一つですが、構造や用途によって耐用年数が異なるため、負担額も異なります。
鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数は47年、木造住宅の耐用年数は22年であり、マンションの方が固定資産税評価額(価値)がゆっくりと減っていくため、固定資産税額を長く支払う必要があります。
また、「修繕積立金」はマンション特有の費用のように思われがちですが、戸建ての場合でも外壁や屋根、設備を修理・修繕が必要なタイミングは必ず訪れます。
毎月の支払で積み立てるのがマンション、必要に応じて支払いが発生するのが戸建てということになります。
突然の出費に慌てないためにも、「ボーナスの一部を積み立てる」「10年目までに〇万円準備する」などご自身のタイミングで準備することが大切です。
また、管理費や修繕積立金は安ければ良いというものでもありません。
管理費は「共用設備の維持・管理のために支払う」ものですし、「大規模修繕を行う際に思わぬ負担がかからないため」に前もって準備するのが修繕積立金です。
積立てが十分でなかった場合、修繕時に不足分の支払いを請求されることもあるので注意が必要です。
前述のデータからもわかるとおり、マンションも戸建ても価格が高騰しているのが現状です。
それでも、新築物件を求める方が多いのは「新築の方が気持ちが良いから」「最新の設備や、セキュリティが備えられているから」「立地条件や間取りを自分の希望通りにしたいから」などの理由によるものです。
ただ、住宅需要が増える一方、新築物件の供給が少ないことから、中古物件も注目されています。
中古物件は新築物件に比べて価格が安く、リノベーションをしたとしても新築を購入するより安く済むこともあるため人気です。
リノベーションすることで、最新の設備を備えたり、居住空間は快適な環境に整備できます。
実際にリノベーション物件を購入した方や、購入後にリノベーションした方の割合は以下の通りです。
中古マンション | 中古戸建て | |
---|---|---|
リノベーション物件 | 48.9% | 37.6% |
購入後リノベーション | 32.7% | 43.1% |
参考:国土交通省 令和3年度住宅市場動向調査
国土交通省による令和3年度住宅市場動向調査によると、中古物件を取得した方が中古物件購入を選択した理由は「価格が適正だったから」「立地環境がよかったから」「住宅のデザイン・広さ・設備等がよかったから」とあります。
新築で検討していても、住宅市場が全体的に価格上昇している今、家計の収支と照らし合わせると予算オーバーとなることもあります。
そんなときは無理をせずに、中古物件の購入を検討してみてもよいでしょう。
メリット | デメリット |
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メリット |
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デメリット |
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リノベーション物件を購入するメリットは、新築よりも安価な販売価格で、キッチンやお風呂、トイレなど最新の住宅設備を備えたオシャレな住戸を購入することができます。
また、すでに近隣に居住している方々の生活の雰囲気がわかり、購入後の生活をイメージしやすいこともメリットです。
しかしながら、リノベーションをするのは部屋の内部のみのため、エレベーターや玄関ホール、その他共用設備は古いままということも考えられます。
同様に基礎構造の工事は行わないため、築年数が経っている物件の場合、耐震性等に懸念があるかもしれません。
販売資料等で懸念点をしっかりとチェックし、できるだけ現地へ行き、これまでにどのような管理が行われていたのか、建物の劣化の程度や修繕の状態をご自身の目でみて確認することが大切です。
「マンション」か「戸建て」か、また「新築」か「中古」かどれを選択するにしても、家計の収支にあった予算で検討することが大切です。
それには、現在の収支だけではなく、将来のライフプランを踏まえた収支を把握することが必要です。
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マイホーム購入には土地建物の物件価格だけではなく、さまざまな費用がかかります。
計画の早い段階で、シミュレーションや専門家を活用し、ライフプランを踏まえた無理のない資金計画を立てましょう。
今後、想定される大きなイベントを考え、どのタイミングでいくら必要になるかを把握して計画を立てることでお金の不安や悩みを解消することができます。
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執筆者
株式会社 北國銀行
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